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2006/07/19
警察が危うい…

執筆者: murata (11:24 pm)
パロマガス器具の欠陥死亡事件について書こうと思っていたのだが、シンドラーエレベーターと同じ事を書いてしまいそうな事と、問題のガス器具については組込ソフトは関係ないので、書くのをやめる事にした。どうせ組込開発と関係ないのならば、もう一つの大問題である、秋田連続児童殺害事件での初動捜査の問題について書こうと思う。

この事件の容疑者は、実の娘に続いて近所の男の子を殺害した容疑で逮捕された。そして、各メディアの報道や社説で指摘されている様に、女児の死が事件として充分に捜査されなかった事で、近所の男の子までもが犠牲になってしまった。これは秋田県警が、女児の死亡事案について安直に「事故」という結論を出してしまった事による悲劇である。私自身は独身で子供が居ないが、姪が二人居るし、チェンジビジョンの同僚の子供たちの事も同じ様に可愛いと思っている。それだけに、こうした事件の展開には、胸が潰れる想いである。

勿論、わざわざテレビに出演してまで、娘の死を「事件だ」と訴えた容疑者の行動はあまりにも不可解であるし、なぜ近所の男の子まで殺害したのかについても、理解し難い。

しかし、「実の親による子供の虐待」は、かなり一般的な社会問題として既に存在していたのである。実の親である容疑者が話した事情を、どうして疑ってかからなかったのであろうか? 秋田県警は「事件と事故の両面で捜査してきた」と釈明している。確かに初期の状況を考えれば、それはそれで良いのだが、ならばどうして、「事件」の線について、「顔見知りによる犯行」と「変質者等による通り魔的犯行」の2つのシナリオを検討しなかったのであろうか?

たしかに近年、変質者による児童殺害事件が、続けて世の中を騒がせてきた。しかし、「司法解剖によって、『変質者による犯行』の線が消えた事で、秋田県警はこの案件を『事故扱い』へと短絡させてしまった。」と指摘する声もある。これはシナリオの「検討漏れ」ではないのか?

勿論、警察の仕事が、システムエンジニアの仕事とは違って、姿を見せない(そして居ないのかもしれない)「悪意ある犯罪者」を相手にして、真実を迅速かつ的確に看破しなければならないという、極めて厳しい仕事である事は判っている。

しかし、犯罪捜査にとっての「初動」が、システム開発にとっての「要求分析」と同じ様に大事であって、ここでのミスがプロジェクトの顛末を悪いものにしてしまうという事は、想像に難くない。

刑事警察機構とは、究極にして不可欠な公共サービスである。プロジェクトの遂行能力が低い事と、プロジェクトの遂行体制が脆い事だけは絶対に許されないのだ。
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