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2006/06/07
情熱(たましい)は見えるか?

執筆者: murata (10:00 pm)
目下の処、私の周囲は明日に控えたJUDE/Think!のリリースで慌しいが、敢えて無関係な事を書いてみる。

あれはチェンジビジョン結成時のメンバーの初顔合わせの為の宴会だった。あいにく体調が悪く、頭が痛くて立っているのがやっとの状態だった私は、その宴会を欠席するつもりだったのだが、夕方のミーティングで初対面となった熊谷取締役のオーラに触れる事で喝が入り、「これは話をしなければ」と思い、運転手になる事を口実に、酒類を遠慮して参加する事にしたのであった。

その宴会の最後に社長の平鍋から読む事を薦められた本がジョエル・スポルスキーの「ジョエル・オン・ソフトウェア」である。この本は作者のブログに書かれたエッセーを順不同で内容別にまとめた本であり、私は全45章の内、前半の20章を読み終えた処で読むのを中断していた。

それから暫く読んでいなかったので、この文章は、本のレビューというよりは、本から伝わるジョエルのオーラについての感想となる。


青木靖による翻訳の質が良いためかもしれないが、私はジョエル・スポルスキーという人物から放たれるオーラにある種の懐かしさを感じていた。

それは、1999年4月2日に惜しくも亡くなられたテクニカルライターの祝一平から、私が若い日に受け取っていたオーラと同じ色をしていると思えるのである。

知っている人は知っていると思うが、祝一平はソフトバンクのOh!MZ,Oh!Xや自ら起こした満開製作所の月刊電脳倶楽部で活躍していたライターであり、シャープのX1やX68000のソフトウェア開発についてのディープな技術情報を提供し続けた人物である。そして、1980年代後期から1990年代前期にかけての、PC-9800シリーズとマイクロソフトに席巻された日本のパソコン界において、「タコなユーザが多すぎる」と頑固職人の様な辛口な論評を繰り返した人物でもあった。学生時代にX1やX68000のユーザーであった私は、彼のオーラに同調し、PC-9800シリーズやマイクロソフトをこき下ろしながら、Z80やMC68000のマシン語プログラミングのスキルを高めていたのである。

一方、ジョエル・スポルスキーは、祝一平が晩年まで忌み嫌っていたマイクロソフトで、エクセルの開発に携わっていた人物である。

しかし、私は両名から同じ色のオーラを感じ取ってしまうのだ。ジョエルも同じ様に「タコなマネージャーが多すぎる」と感じているのかもしれない。

私と祝一平の間には直接の面識はない。しかも、X68000シリーズのビジネスとしての失敗とともに、私は「X68000に正義があるとは思えない。」という捨て台詞を残して、1993年3月を以って、月刊電脳倶楽部とOh!Xの購読を打ち切っている。(この捨て台詞は月刊電脳倶楽部に掲載された事でミームとなり、後にOh!XのライターたちがX68000関連のレビューで製品の美点について語る時に「○○なのは正義である。」という言い回しとして使われた。)その後、両方とも「長期休刊」となったので、彼とはそれっきりである。

そして、当時50万円もしたX68030ではなく、18万円で買う事ができたマッキントッシュPerforma520(LC520のアプリ同梱機)を某家電メーカー系ソフトハウスに就職した時の最初のボーナスで買ったのである。(私としては、それでも「反マイクロソフト」「反インテル」のつもりだったが、現在ではアップルがマイクロソフトの傘下に入り、マックもインテルコアに切り替わる事になったという事には、時の流れの不思議さを感じる。)

私自身、「マックの改造」というニッチな領域にパソコンの趣味性を変化させた事もあるし、現在は「反マイクロソフト」も「反インテル」もどうでも良くなっているので、自分自身はAT互換機の組み立てを楽しんでいる。(そして、CPUやチップセットについては、インテル派だったりもする。)また、クラシックカーが大好きであるから、今なおオールドマックやX68000の熱心なサポーターたちが古い愛機をいじくり回している気持ちも理解している。

そして何よりも、祝一平やX68000シリーズと決別した後にも私に残っていたのは、「クールなモノ造りへの情熱」なのである。ジョエルの文章に触れた事で、祝一平から私に注がれたミームが今なお私の心の中で燻ぶっている事を、私は思い出した。そしてあらためて彼に感謝したい。

そして縁あってチェンジビジョンという同じ船に乗り合わせたクルーたちにも。
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